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2016笹川杯作文大賽三等獎作品賞析:「水餃子と焼き餃子の絆」

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三等獎

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「水餃子と焼き餃子の絆」

李夢雙(寧波大學)

「はい、ちょっと待ってください」

そして、ドアを開けると美しい女の子の笑顔が目に入った。

「こんにちは、この度302號室に引っ越して來た井口仁美です。これからお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。あ、これ、自分で作った焼き餃子で、どうぞお受け取りください。お口に合うと良かったと思って」と彼女はそんなに上手ではない中國語で挨拶してくれた。

これは二年前に初めて仁美ちゃんに會った時の情景である。

大學に入って、親元を離れたが、學校の寮に住むのが嫌だったので、學校の近くのマンションを借りた。それで、一人暮らしの生活を始めた。仁美ちゃんはわたしが初めて知り合った日本人であるのみならず、初めての日本人の隣人である。非常にビックリしたけど、落ち着いたふりをして上手ではない日本語で「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。」と言っていた。

ところが、その時の初めて見た仁美ちゃんの優しさと親切さが本當にわたしの心を打った。大學に入ったばかりのわたしは日本語學科の學生と言っても、日本語に全く興味がなかった。それどころか、むしろ嫌っており、日本に対しても良くないイメージばかりを持っていた。なんだか日本人は冷たいと心の中に決めつけていた。しかも、誰かが両親に「お嬢さんの専門は?」と聞いた時、両親ははっきり日本語だと言わなくて、外國語だと曖昧に答えた。だが、仁美ちゃんは私の思っていた日本人と違う。もしかして間違っていたのだろうかと心のどこかで自分の判斷を疑い始めた。

その年の中秋節は三日間休みだった。せっかく餘裕があるから、水餃子を作ろうかと思った。一家団欒の中秋節だけど、遠くの日本に住んだ家族を離れて一人で休日を過ごす仁美ちゃんもきっと家のことを懐かしく思っていて、寂しいだろうとわたしは突然思い出した。それで、家に彼女を誘って一緒に中秋節を過ごすことにした。わたしは彼女に水餃子の作り方を教えながら、その歴史や団欒の祝福を含む意味なども説明していた。彼女はそれらのことに非常に興味を持っていたように真面目な顔で聞いてくれつつ、いろいろな質問をした。それから、わたしは急にこの間彼女からもらった焼き餃子のことを思い出した。なんだか中國の餃子と違って、美味しくて特別な味がしたような気がした。それで、彼女に是非作り方を教えてくださいと頼んだ。いつか両親にも作ってあげたいと思っていた。それで、彼女から焼き餃子と水餃子を作る時の調味料の違いを學んだ。それに、日本では焼き餃子はいつも副食としての食べ物であリ、よくラーメンと一緒に食べるようにしていることを初めて聞いたので、本當にビックリした。わたしはずっと「え!」とか「へ〜」と不思議に思った。こうして、仁美ちゃんと一緒に楽しくて忘れられない中秋節を過ごした。

以前は両親や家族のお年寄りたちから聞いた言葉だけで日本に悪い印象を頭に刻んでいた。この以前のわたしからすれば、まさか日本人と一緒に中秋節を過ごすなんて思ってはいなかっただろう。今から思うと、當時の自分の無知に本當に慚愧に堪えない。ある調査によると、中國では、7割の國民が日本に好意を寄せていないという。同時に日本でも9割の人が中國のことをよく思っていないそうだ。原因は、以前の私のように相手のことをよく知らず、一人一人の決めつけで勝手に嫌いになるところにあるのではないか。両國の多くの人、中國においては特に老人たちにこのような思想がとりわけ普及している。

実は、ここ數年間、中日関係はよくなってきている。多くの中國に來た日本人留學生が中國に良いイメージを持っているのである。彼らから「中國人が優しい」とか「バスでお年寄りに席を譲る中國の若者がよく見えるよね」といったような評価をもらった。同時に中國の留學生も日本で感動したことがいっぱいあると言われる。

わたしは中國のごく普通の學生として、中日友好のために大したことができないが、植えつけられた間違った思想から脫して、新しい態度で積極的に日本人とコミュニケーションしたいと思う。もっと良く相手のことを知りたいと言う気持ちで一緒に話し合いたいと思う。わたしと仁美ちゃんが、水餃子と焼き餃子のきっかけで、隣人としての絆を結んだように、我々は日本人と中國人のお互いの共感する部分を見つけていったら、隣人としての中日両國の絆も結べるのではないか。これが若者の視點から中日友好のためにすべきことなのではないかと思う。

今日は両親に焼き餃子を作ってあげた。もう帰國した仁美ちゃんも食べたかなと。

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